今年の1月に阿吽を訪れた時は、臨時休業でつゆなし担々麺にありつけなかった。肩を落としながらひかるくんと神田まで歩いてカラシビつけ麺鬼金棒へ挑み、その後もなお多少空腹だったので銀座まで歩いて篝の鶏白湯に並んだ。付き合いたてのデートで、なぜか麺の連食。懐かしい、冬の思い出。

夏が始まる頃になって、営業が再開されたという噂を聞きつけた。どうやら長期でお休みされていたそう。それから訪問したいしたいと思い続け、夏が終わる頃、ようやく足を運ぶことができた。

暑さもおさまり涼しい夜だったので、御茶ノ水駅からてくてく歩いた。駅から20分ぐらいで到着。土曜の20時過ぎ、先客は7人だった。席数が少ないからか、この日の客層によるのか、回転はそれほど早くない。

食券機でつゆなし担々麺の4辛と、半ライス、生ビールを注文する。たくさん歩いたので、一杯飲みたいような気分だったのだ。ちなみに5辛の食券は、4辛を経験した人のみ購入可能だそう。

店内は黒がメインの落ち着いた色調で、照明もなんだかムーディー。感動したのはお手洗い。洗面台と個室が分かれており、とてもきれい。

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少しして、カウンターの向こうから丼が手渡される。「下からよく混ぜてくださいね」とのこと。念入りに麺をひっくり返し、クリーミーなたれを全体になじませる。

一口いただく。直接舌を突くような辛さはない。えびの香りがふうわり鼻に届く。際立つのは花椒による鮮烈なしびれ。決して物足りなさを感じさせることなく、それでいて味覚を麻痺させない程度の絶妙なしびれ具合である。これが人気の所以だとすると、首が取れるぐらい頷ける。

去年広島の汁なし担々麺をめぐって以来、汁なし担々麺の麺は細いものというイメージがついていたが、阿吽の麺はわりと太め。三河屋製麺の麺で、噛み応えがある。さらに、まったりとしたたれや大ぶりのひき肉とあいまって、とてもボリューミー。池袋の楊にも負けず劣らずのインパクトである。

直接的な辛さはほとんど感じないが、食べ進むにつれて身体の内側から熱くなり、汗がにじむ。この真っ赤な辣油の仕業か。そうなのか。

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非常にボリュームのある担々麺なので、ビールとライスをつけるとお腹ははちきれんばかりになる。麺をすするひかるくんを横目で見ながらぼんやりと思う。1月に店の前までやって来た時はまだひかるくんと出会ったばかりで、2人の間にぎこちない距離を置きながら阿吽までの道のりを歩いたのだった。半年以上が経ち、こうして隣で美味しいつゆなし担々麺をいただきながらビールを飲めているというのは、なんだか感慨深い。月日は百代の過客にして、行き交う年もまた旅人なり。来年の夏の終わりにはどこで麺を食べているのかなあ。

歩き疲れたので、帰りはすぐ近くの湯島駅から乗車。次は5辛のつゆなし担々麺を食べたい。絶対に食べたい。

四川担担麺 阿吽担々麺 / 湯島駅上野広小路駅上野御徒町駅

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